多くのソフトウェアはアップデートすることを前提として作られている。
WordPressの場合、コア・プラグイン・テーマをアップデートすることを前提として、利用環境もアップデートないし移行していかなければならない。
企業が運営するWebサイトであってもその部分への意識が弱いケースが多く見られる。WordPressでWebサイトを納品している制作事業者でも対応できていないケースも多いため、注意喚起とともに保守の重要性を紹介する。
最初に結論
アップデートすることが当たり前である以上、誰かがそれをやらなければならない。
企業であれば「Webサイト=信頼」につながるため、その重要性はより高くなっている。
また、WordPressを安定して扱うために必要な知識や技術も増えてきており、いわゆるWeb担当者では対応しきれない部分が拡大している。
メンテナンスを専門にできるスタッフを雇うか、外部の専門家に任せるのが賢明なのだ。
メンテナンスは何をしなければならないのか
端的にいえば、WordPressと動作している環境のアップデートとそれに伴う設定の変更や不具合箇所の修正になる。
弊社が保守(メンテナンス)としておこなっていることを羅列すると以下のような項目になる。
- WordPressの本体のアップデート
- WordPressのテーマのアップデート
- WordPressのプラグインのアップデート
- サーバーのアップデート(クラウド・VPSの場合)
- サーバーの死活監視(クラウド・VPSの場合)
- サーバーコントロールパネルで設定可能な項目の追加・変更
- 不具合が起こった場合の状況把握
- 不具合の修正
これらに加えて、最新の情報のキャッチアップや、環境を移行する判断などを運用計画とあわせて総合的に計画していく必要があるのだ。
WordPressにフォーカスした場合の保守に関するあれこれは以下のエントリーを読んでほしい。
別媒体ではあるが、筆者が書いたものである。
一般的な企業のWeb担当者の作業範囲と限界
では一般的に企業のWeb担当者はどのようなことをやっているのか。
統計をとったわけではないが以下の様の事柄が一般的だろう。
- 投稿の追加・修正
- 固定ページの追加・修正
- 投稿内画像の調達
- ヘッダーやフッター、メニューなどの変更・調整
- 責任者への変更確認
- アクセス解析からの運営方法の見直し
- マーケティングに関わる業務
などである。
さらに、Web担当者は兼任していることが多いため、これに加えて一般業務も担当していたりするのだ。チームでやっていたとしても、結構な作業量である。
ここにメンテナンス業務も期待されてしまうとなれば、相当厳しいと言わざるを得ない。そもそも必要な知識や技術も異なっているのだ。
また、企業である以上、技術や知識は属人的であってはならない。Webサイトも企業のサービスの一環である以上、技術や知識を持った人がいなくなったら、全く手が出せなくなってしまったということはあってはならないのだ。
企業にとってWebサイトとは
大企業でも中小企業でもWebサイトを持つことは当たり前になっている。その企業のことを調べたいとき、自分が欲しているサービス・商品を検索したときに、一番最初に目にするのがそのWebサイトだったりする。
近年はSNSなどを利用してマーケティングを行い、そこだけで完結するような形をとることもできたりするが、BtoBにおいてはWebサイトまできっちり調べるのが一般的だろう。
その企業への玄関口とも言えるWebサイトに問題があると判明した場合、企業への信頼はどうなるのかは言わずもがなだと思う。
セキュリティ商品を売っているのにWordPressのバージョンが4系とか、個人情報を多く取り扱っているのにPHPのバージョンが未だに5系とか、見る人が見たらわかってしまうようなケースが結構多く見られるのが現状だったりする。
当たり前だがそのようなサービス・企業は一切信用できない。
裏口が開きっぱなしでだれも見ておらず、店員さんも基本いないようなお店で、個人情報を記入してくださいと言われたらどんな気持ちだろうか。恐くて立ち去るのが普通だろう。
それが、まかり通っているのである。
Webサイトであると言うだけで、なんとなく放置していいと意識してしまっていることが多いのだろうが、そこはあなたの会社の窓口でもあるということを強く認識してほしい。
外部に任せるということ
保守の重要性に関してはなんとなく理解してもらえたかと思うが、これを誰が担当するのかが大きな問題である。
先にも述べたようにWeb担当者にここを任せるのは荷が重く大きな負担になってしまう。本来であれば、専門チームを作ればいいのだが、予算というものもあるためそういうわけにもいかないだろう。
そこで検討すべきは外部委託である。
プロ・専門家が作業をおこなってくれるため、自社内で人員を確保する必要がなくなる。
サービスを提供している身としては言いにくいことだが、対応に不満があれば別の業者に変えることもできたり、Webサイトのクローズに伴って契約を打ち切ることも可能だ。
しかも、普通にその技術や知識を持った人を雇うよりも遥かに安価で済ませることができる。
もちろん、内部の情報を共有することになるため、契約も含め信用・信頼という部分も必要にはなってくるが、それは他の業務でも同じことだろう。
どうにもお手上げになる前に、プロに任せてほしい。
まとめ
アップデートも含みメンテナンスは必ずやらなければならない。
企業であればその重要性は、個人運営のサイトよりも大きくなるのは当然のことだ。
Webサイトというものの重要性や役割というものをもう一度考えて、どのように運用していくのがいいのかを考え直してほしい。
その上で、自分たちで扱いきれないと判断した場合は、保守サービスを契約することを検討し相談してほしい。もっといい運用方法が見つかるかもしれないし、実はコストを下げることもできるかもしれない。